ハンガー・ゲーム

投稿日:2019年10月 5日|最終更新日:2019年10月 6日
ハンガー・ゲーム
タイトルハンガー・ゲーム
原題The Hunger Games
製作年2012
アメリカ
監督ゲイリー・ロス
出演者ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウディ・ハレルソン

ハンガー・ゲームのネタバレありレビュー

狩矢のレビュー

パネムと呼ばれる国では、過去政府に対して反乱を起こした事への代償として、12ある地区の中で12歳から18歳の男女が1名ずつ選ばれて闘技場で殺し合い、最後に残ったものが勝者となるハンガー・ゲームが行われている世界が舞台の小説が原作の映画シリーズの1作目。
そのタイトルから、やはりサバイバルゲームがメインなのかな、と思って見始めたのですがそれは間違いでした。個人的にはそれなりに楽しめましたが、ゲーム部分をメインに楽しみたい人には不評かと思います。


さて、この作品の主人公は貧しい12地区で生活する少女カットニス。ハンガー・ゲームのプレイヤーとして選ばれた妹の身代わりにプレイヤーとして志願することになります。

ハンガー・ゲームは1年に1度の娯楽として全地区でテレビ中継されて、勝者は不自由のない贅沢な暮らしが保証されるという説明を聞いていくにつれて、1987年に公開された「バトルランナー」を思い出しました。


このハンガーゲームではバトルランナー以上にディストピア感の強い表現がされていて、パネムの中心であるキャピトルでは富裕層が贅沢な暮らしをしていて、その他の12地区では富裕層しか住んでいないキャピトルのために働きながら、年に一度の刈り取りの儀式に怯えて生活をしています。この状況下にありながら、治安部隊が目を光らせているので多くの人が政府に逆らうことは不可能であると思いこんでいます。まさにディストピアです。

ハンガー・ゲームが開始されるまでに、主人公であるカットニスは今までいた12地区とキャピトルの両方を目にし、そしてゲーム内で多くの人が殺し合う場面を目の当たりにします。


ゲームが始まり、その中で最年少である少女ルーと出会い、ルーに助けられながらなんとか生き残りますが、無残にもカットニスの目の前で殺されてしまいます。この時、ルーの遺体を花で囲み死を悼むシーンが中継されると、ルーの出身である11地区の人々はついに反乱を起こしますが、治安部隊により制圧されていきます。この辺りからハンガー・ゲームという作品は殺し合いのゲームを軸としながら、全12地区の人々が協力し政府に反乱を起こし世界を変えていく物語なのでは?と感じてきました。


11地区で起きた暴動を止めるために、ゲームを恐怖ではなく熱中できるものに変更する必要があるとし、急遽一人しか生き残れないというルールから同じ地区出身者であれば二人でも勝者になるとルールが変更されます。
12地区の二人を生き残らせたい12地区の二人の指導者(かつてのゲームの勝者)であるヘイミッチがそういった流れに持ち込むのですが、この辺りからかなりの頻度で運営側がプレイヤーに対してちょっかいを出し始めます。救援物資を置いて戦わせたり、凶暴な動物を放って動物を戦わせたり、更には最後の最後でまたルール変更。
物語の軸は違ってもあくまで生き残りをかけたゲームのシーンがメインに進んでいくのですから、その辺りはあまり手出しをせずキャピトル側が各地区に対するもっと冷酷な粛清を行っても良かったのかな、と思いました。


ゲームの終盤で最後の一人だけが勝者となるようにルール変更されますが、権力に従わず二人で自決する事を選び、そのシーンが放送される直前にゲームは終了。12地区の二人が勝者となります。プレイヤーに主導権を握られ、ゲームの途中で多くのルール変更が行われたにもかかわらず、ゲームの根本的なルールである殺し合いをほとんど行わず、変更を繰り返したルールに最後まで逆らう事で、各地区の政府への反感を更に強めたカットニス。最後は何かを目論むスノー大統領が映り映画は幕を閉じます。

おそらく多くの人は少年少女の殺し合いを見たくてハンガー・ゲームを見たのではないかと思います。タイトルがそうですから、やはりこの内容に納得しない人も多いと思います。
ただ、この作品を見ていく中で恐らくハンガー・ゲームを使ってディストピアを破壊し、理不尽に管理されていた人々が自由を掴む物語なんだろうと想像していくと、ゲームを支配する人々と、キャピトルを始めとしたパネムを収める政府の人間たちの怒りや焦りがはっきり明確に表現されているのでその辺りは楽しめました。

ハンガー・ゲームを見たときには既にシリーズが完結していて、全4作のうちの1作目であることがわかっていたので、恐らく公開当時に見た人と感じるところに大きなズレはあるかと思いますが、私も作品を見るまで殺し合いの映画がこんなに続くのか、程度にしか思っていませんでした。
激しい戦いを見に行ったのに物足りない!と感じさせないために、あまり核心に触れずにもう少しゲーム部分を薄めて宣伝しても良かったのかな、とは思いました。